石榑トンネル(三重県側)

石榑トンネル(三重県側)【撮影日:2013年8月11日】

2011年3月26日に開通した三重県いなべ市と滋賀県東近江市を結ぶ国道421号線上にある石榑トンネル。
今でこそ、三重と滋賀の県境が含まれる石榑トンネル区間を約5分で通過できますが、このトンネルが開通するまでの間、国道421号線はとても過酷な峠道で“酷道”と呼ばれていたことは、語り継いでいくほかありません。

時を戻して2006年12月。大阪から名古屋へ抜ける道として、新名高速道路が未開通だった当時の選択肢は
・名神高速ルート
・西名阪自動車道~名阪国道~東名阪自動車道を通るルート
・国道1号線で京都~国道8号線で米原~国道21号線で大垣を経由する下道ルート
の3択で、これらは何度も行き来していたため、他にルートはないのか?と地図を眺めてできるだけ最短距離で行けそうなルートを見つけたのが国道421号線。

地図を見るからに曲がりくねった道路は石榑峠を走り、それでも国道と名乗るからには、そこそこ走れる道かと思い滋賀県側から実際に走行してみました。

国道421号線 石榑峠 2006年走行記録

国道421号線 旧佐目子谷橋

国道421号線 佐目子谷橋【撮影日:2006年12月1日】

国道421号線を走り、永源寺付近までは片側1車線の快調な道路でしたが、永源寺を過ぎたあたりから、所々道幅が狭く離合不可区間が増えていき、写真は永源寺ダム湖畔の佐目子谷橋を通過。当時はセンターラインが引かれていないことから幅員は5.5m未満の道路でしたが、2016年10月に新たな橋が架けられ、片側1車線道路に整備されています。

国道421号線 1車線区間の山道

国道421号線 1車線区間の山道【撮影日:2006年12月1日】

そのまま進むと道幅はどんどん狭くなり、すっかり山道に。山道に国道421号線の標識が立つこの写真は、今となっては貴重な1枚。
この頃には携帯の電波も繋がらなくなり、夕方16時を過ぎていたので、一刻も早く峠越えをしなければと焦り始めます。

そして、峠道を上った先に見えた光景がこれ。

国道421号線 石榑峠のコンクリートブロック

国道421号線 石榑峠のコンクリートブロック【撮影日:2006年12月1日】

国道421号線が通す道は、このコンクリートブロックの間。その幅は2mと表示されていました。
このコンクリートブロック、大型車(正確には2t以上の車)を通行させないために設置されていたものですが、もう少し広くしても規制できたように思ったりもします。しかしコンクリートブロックでバリケードされた国道は、逆にマニアにとっては有名で、“酷道”と呼ぶには相応しい光景。

過去に通った車が、バリケードを突破するのに苦戦したことを物語る勲章が、擦り傷となって刻み込まれていますが、そんなことに怯んでいる場合ではありません。ここまで峠道を上ってきて、引き返すという選択肢はもちろんなく、前進あるのみ。

石榑峠のコンクリートブロックを通過する車(トヨタ セリカ)

石榑峠のコンクリートブロックを通過する車【撮影日:2006年12月1日】

全幅1,735mmのトヨタ セリカで何とか通過できました。
ちなみに、車メーカーが公表している車幅にはドアミラー等の突起物は含まれないため、実際にはほぼ2mギリか少しオーバーか。
さすがにドアミラーは畳んで通行したのですが、当時乗っていたセリカのグレートはSS-Iで、電動格納ミラーは装備されておりません。コンクリートブロックの通過前後は左側のドアミラー操作のために、わざわざ降りて調節しました。

石榑峠バリケード区間

石榑峠バリケード区間【撮影日:2006年12月1日】

石榑峠の頂上にあるコンクリートブロック通過後は、下り坂。一応舗装はされていましたが、対向車が来てしまうと厳しい区間を進んでいると、もう一つのバリケードが見えてきました。

石榑峠のコンクリートブロック(三重県側)

石榑峠のコンクリートブロック(三重県側)【撮影日:2006年12月1日】

石榑峠三重県側のコンクリートブロック。ここでもドアミラーを手動で格納して、通過しました。
この時は、もう二度とこの道を通ることは無いだろうと思っていましたが、その後、廃道になる前に、もう1度ぐらい走っておきたかったと思う今日この頃。

国道421号線の石榑峠を含む区間は2008年9月に発生した豪雨災害により道路が崩落して通行止め。それ以降、復旧の予定は立たぬまま年月だけが経ち、2011年3月26日に石榑トンネルが開通。旧道となり国道指定から外れ、復旧からも見放されてそのまま廃道になってしまいました。

旧国道421号線 石榑峠を2006年に再訪

石榑峠 旧道 三重県側のバリケード

石榑峠 旧道 三重県側のバリケード【撮影日:2013年8月11日】

石榑トンネル開通後、三重県側のトンネル出入り口横の側道から旧道に入っていくと、白龍神社までは通行できますが、その先は封鎖。

石榑峠のコンクリートブロックは通行不可

石榑峠のコンクリートブロックは通行不可【撮影日:2013年8月11日】

滋賀県側からは旧道を通り、石榑峠頂上までは行けましたが、コンクリートブロックのバリケードはチェーンで仕切られ、通過することは出来なくなっています。2006年訪問時と比較して、幅員減少標識はコンクリートブロック側に移動され、三重県との県境標識が新しく設置されていました。

国道421号線は走りやすい道路へと工事が進む

かつての国道421号線 石榑峠は幅員2m制限に加え、冬季は積雪のため通行止めでした。しかし石榑トンネルが開通したことにより、大型車の通行が可能となり、普通車も含めて年中通行可能な道路となりました。その一方で、滋賀県側の永源寺ダム湖周辺の永源寺相谷町地先からダム上流の越渓橋までの5.6kmでは道幅が狭く、カーブが多い区間。普通車でも離合困難な場所が多いこの場所に、大型車が頻繁に通るようになっており、幅員の拡幅などバイパス化が進められています。